■遺留分とは
遺留分とは何でしょうか。遺留分とは、相続人のうち、被相続人の一定の近親者に留保された相続財産の一定の割合のことで、被相続人の生前処分または死因処分によって奪うことのできないものと説明されます。つまり法で定められた一定の被相続人の近親者が持っている最低限の取り分の割合が遺留分と呼ばれるものです。これは被相続人が生前贈与したり、あるいは特定の誰かにのみ遺産を継承する旨の遺言がなされていても無くなることはありません。遺留分を持つ資格のある人(遺留分権者)が遺留分を取り損ねる場合に被相続人が第三者に贈与した遺産や遺言によって特定の人に承継された遺産を裁判により取り戻すことができます。
例えば、遺産が2000万円、法定相続人が子のAさん、Bさんの2人の場合を考えてみましょう。法定相続通りに分けるとすると、甲、乙はそれぞれ1000万円ずつ相続することになりますが、この場合のAさん、Bさんの遺留分はどうなるでしょうか。子に対する遺留分は2分の1ですから(民1042条1項2号)Aさん、Bさんはそれぞれ2000万円×1/2÷2=500万円の遺留分を得ることができます。なお生前贈与がある場合の遺留分計算については、別途慎重な計算が必要となります。また、被相続人の生前贈与したものが必ずしも遺留分の算定のための財産として組み込まれるわけではなく、相続開始までの1年間でなされた贈与に限られます(1044条1項)。
■遺留侵害額請求
民法では、被相続人に親しい親族(例えば、子や親)に遺留分を定めています。なお兄弟姉妹には遺留分は認められていません(民1042条1項)。そしてもし被相続人が生前に第三者に贈与をしたり、遺言により遺産が本来民法で定められた相続人のもとに十分に渡らない場合は遺留分侵害請求権を行使することができます(民1046条1項)。
遺留分侵害請求権は、被相続人の財産に依存して生活していた法定相続人(兄弟姉妹以外)のために、その財産のうちの一定のものを残しておくために、被相続人による生前の贈与や遺言に基づいた贈与によって遺産を承継した人に遺留分の遺産を求める権利です。
なお、遺産と言っても侵害額ですので、不動産などの物を相手方からもらうのではなく、金銭の交付という形で遺留分侵害額は請求されます。
■どのようなときに遺留分侵害請求権を使えるのか
遺留分減殺請求権は①相続が始まって、②被相続人による生前の贈与や遺言に基づいた贈与によって遺留分が侵害されたときに行使することができます。
なお、①、②の2つのことを遺留分権者が知ってから1年を過ぎる、あるいは相続開始の時から10年経過すると遺留分侵害請求権は行使することができなくなります(民1048条)。
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